【2024年版】 文化服装学院生に聞きました!
おしゃれZ世代のホンネ グループインタビューレポート
本グループインタビューは、 文化服装学院ファッション流通科ファッションプロモーションコースのご協力のもと、
文化服装学院の在学生 = ”おしゃれZ世代” を対象に、コミュニケーションやファッションの「リアル」を知るため企画しました。
本年7月に、文化服装学院在学生874名が回答したWEBアンケートも実施しています。
本グループインタビューには、文化服装学院ならではの個性ある学生が集まり、アンケートでは見えない行動のウラ・ホンネも掬い上げています。
おしゃれZ世代を知る一助として、このレポートをぜひお役立て下さい。
調査概要
- 調査手法:グループインタビュー
- 調査対象: 文化服装学院ファッションプロモーションコースの在学生 計4組22名
GROUP01:5名
GROUP02:5名
GROUP03:6名
GROUP04:6名 - 調査期間: 2024 年 7 月4日・7 月8 日・7 月10日
- 調査企画・実査: ㈱双葉通信社
- 協力: 文化服装学院ファッション流通科ファッションプロモーションコース
サマリー
【Emotion】
エモ・ノスタルジー ~ キーワードは「思い出」
- 「思い出」「ノスタルジー」に強い愛着があり、それらが「エモい」。
- ブームが続くオールドデジカメやオールドiPhoneは、エモ・ノスタルジーを表現する道具。
- これら古いデバイスでの写真や動画は、青春の一瞬の時間や「儚さ」を切り取ったもの。不完全な荒い画質に、嘘のないリアルさや人間味を感じ取っている。
- 「古いデバイスで撮った写真や動画は「時の経過」を感じさせる。「戻れないあの頃」を再体験できると共に、見返すことで「今の自分の成長」も実感できる。これらが、彼らのエモ体験の核心にある。
- 子供時代に接した「たまごっち」「リカちゃん」や、「安室奈美恵」のような親世代のブームを追体験するモノ・コト・カルチャーを自然に再評価。
- 90年代~の音楽は、単にブームだからではなく、当時の言葉や歌詞の心情に強く共感している。
仲間との「思い出」をカタチに残したい。残すプロセスや時間にも価値がある
- 日常生活でも仲間との思い出を大切にし、記録や共有で仲間との絆を深めている。
- Vlogは「思い出」の記録手段だから好き。広く公開するより、仲間内だけで共有して浸りたい。
- 思い出を残すためにモノをカスタムする。カスタムの過程や、サプライズバースデーのように、仲間と一緒に考えたり行動する時間に価値がある。
トレンドの源は韓国。NewJeansのMVが流行を創る
- 韓国のファッション・カルチャーやK-POPの影響が行き渡っており、「韓国で流行っているからおしゃれでかわいい」。
- 「日本が韓国のトレンドやファッションを後追い・マネしている」「日本は遅い」と評価。
- NewJeansのノスタルジックなMVが、懐かしくてエモい昭和・平成ブームを創り出している。NewJeansが着た・撮ったものが流行る。
【Communication】
TikTokが「早さ・即時性志向」を加速
- トレンド、ファッション、世間のニュースキャッチ、検索の中心はTikTokになっている。
- トレンドや情報は早く・効率よく知り、即座に取捨選択したい。TikTokや「切り抜き動画」が早さ志向に拍車をかけている。
- 「TikTokのトレンドがインスタのおすすめに上がり、すぐ話題になる」という流れに敏感。
発達したバランス感覚①:自己表現×効率性のバランス
- 何事も自分の「好き」が優先。トレンドは早くキャッチするが、トレンドに乗るかどうかはわりと引いて判断し、丸呑みにしない。
- 自分の発信の価値や役割、「わきまえ」に敏感。ファッションの投稿はしても、自信のない美容は投稿を控える。
- SNSでの発信は「内輪向け」と「広く見つけてもらうためのもの」を区別。
インスタは「雰囲気」「内輪」「フォロワー向け」。TikTokは「広く見つけてもらう」ためのもの。
発達したバランス感覚②:自己表現×自分時間のバランス
- 発信は自分の意志でコントロールしたい。位置情報アプリのように、自分の行動が勝手に把握されたり、知らなくていいことが目に入るツールは嫌う。
- 彼らの中で「殿堂入り」しているBeReal.は決して「素」や「オフ」のツールではなく、仲間との一体感や時間共有を楽しむもの。
”ぼっち”や”ダル着”の時は通知を無視。 - 時には「SNSに載せない、自分だけの時間」を意識して楽しむ。
「タイパ」を知らなくても「タイパ的行動」は習慣化、視聴態度は多様化
- 「タイパ」という言葉を知らない学生が多く、積極的にタイパを目指す意識もない。使える機能やサービスに適応した結果として、効率と安心を求める「タイパ現象」が起きている。
- バラエティ番組のまとめなど「だいたい知っておけばいい情報」や、「見たくないネタバレを避ける(推しのライブのセトリ、マンガや映画の展開)」など、コンテンツにより選択的に倍速視聴・スキップしている。
- 短時間で効率的に情報をより分けたい。一部の学生は、もともと短いTikTok動画やYouTubeの切り抜きをさらに倍速視聴することが習慣化。
- ネタバレ積極派とアンチネタバレ派ははっきり分かれる。小説や映画をゆったりきちんと見たい学生も少なくない。
- ネタバレ積極派は、「展開や結末を先に知り、おもしろさが担保されたコンテンツを安心して見たい」意識が強い。
「自然に情報が入ってこない」ことへの不安
- 興味のある情報を優先し、不必要なものは無視する傾向が強い。
- 反面、普段追っていない分野や世間のニュースは入ってこない。事件報道や選挙の情報は、XやTikTokのまとめから断片的に後追いで知る。
- 世の中の流れを知らないことにうっすら危機感はあり、持っていないテレビの必要も少し感じている。
- ただし積極的なアクションを起こしている学生はごく一部。LINE NEWSやLivedoorニュースなどをフォローしたり、見出しを見るにとどまる。
【Influencer】
インフルエンサーや動画の影響は生活全般に及ぶ
- 会話の中で、「●●がTikTokやYouTube、インスタで着ていた/やっていた/食べていた/そういう動画が流れてきた」という発言が非常に多い。
- ファッション、メイク、美容やダイエット、食、趣味すべてで、ユーチューバーやインフルエンサー、K-popアイドルの影響を受けている。
- K-popアイドルが着用するアイテムやハイブランドは、「頑張れば手が届く価格」なら購入したい。
- 推しが広告やアンバサダーとなっているブランド、特に香水は気になるし買う。
同世代の人気ファッションYouTuberは「お金持ち」「成功者」
- 学生たちと同世代の人気YouTuber(中町綾やとうあなど)は、トレンドキャッチの嗅覚と影響力で一目置かれている。”彼らが紹介したらすぐ流行る”存在。
- 人気YouTuberたちは、その才覚を生かした「お金持ち」「成功者」。彼らはおもしろくてセンスがいいだけでなく、同世代には手の届かない高額ブランド購入や、海外旅行など特別な疑似体験をさせてくれる人達。学生達は親しみプラスαの畏怖も感じている。
デザイナーやプレスとのリアル交流が「好き」を後押し
- 学生たちはデザイナーやプレスと直接会うことで影響を受けている。「会える推し」的な感覚もあり、こうした人々と会える環境にあるのも特徴。
- ポップアップイベントや展示会などの機会に、Nori EnomotoやKishida Mikiといった憧れのデザイナー、プレス個人との会話から、ブランドへの愛着が強まっている。
人の背後にある物語や人生への共感
- 学生たちはクリエイター・アーティストの作品だけでなく、その背景や人生への共感が強い。
- ラッパーのAwichのように、困難や痛みを乗り越えて自立した人物への共感が強く、ロールモデルとなっている。
インスピレーション源としてのクリエイター、海外ガール
- 海外のデザイナーやインフルエンサー、特にPinterestやインスタグラムで見る”海外ガール”などのトレンドセッターからもインスピレーションを得ている。
【Fashion】
ファッションは「90s」「00s」などの「スタイル」で検索
- レトロブームを受けて、Y2Kやリバイバルブランドが引き続きトレンド。
- 「90s」「00s」「スチームパンク」など、スタイルを表すワードやハッシュタグで検索。「バレエコア」「ノームコア」なども入ってくる。
目的買いと効率重視
- 目的に沿って効率的にショッピングし、時間のムダを避ける意識が強い。
- めあてのアイテムやブランドが決まった状態で買い物に行く。
- フォローしているブランド・ショップ・販売員のストーリーズからピンポイントのアイテムを買いにいくか、決まったブランドやショップのみを巡回。
- 店舗に行くときは「すでに買いたい気持ちがあるとき」。買い物に行ったら1個は欲しい。このため接客は非常に重要。
質と量のバランス重視。ファッション購入にポジティブだからこそメリハリつける
- 将来不安からくる節約意識や”身の丈志向”は見られない。むしろ「いいモノ」が欲しいからこそ、頭を使って買い方を工夫する。
- 衝動買いもするが、欲しくて興奮してもいったん立ち止まり、安くなるまで待つ。
- ZOZOの「ツケ払い」が衝動買いをしやすくしており、学生には高く評価されている。
- ハイブランドよりデザイナーブランド。プチプラに見えないプチプラアイテムとミックスする。
- 50万円のハイブランドアイテム1つよりも、2万円程度の上質なアイテムを複数購入するほうが満足感が高い。
- 靴やバッグなど毎日・長く使えるアイテムには投資する。特によい靴は装いを格上げし、”見ている人は見ている”アイテム。
「信頼性重視」と「リスク回避」
- 実物を確認したいから実店舗で購入:特に高価なアイテムや古着は実物を確認したいため、実店舗派が多い。サイズのわからない韓国通販は、実店舗まで行って慎重に購入。
- 商品の出所に敏感 :通販は信頼できるプラットフォームや、ブランド公式通販を選ぶ。メルカリや海外通販は掘り出し物探しに使うが、出所が分からない不安からまったく使わない学生も複数いる。
- プチプラ通販はレビュー確認:SHEINなどのプチプラ通販や安いアイテムは、口コミやレビューを必ず確認する。安くても「安物買い」はしない。
かぶり回避は「プライドがあるから」
- ファッションでは「かぶらない」ことが最大のポイント。服飾学生としてのプライドがあり、かぶったら萎える。
- 「あえて流行りものを持つ・着る」「おそろ」はネタであり、仲間意識や仲間との時間を彩るもの。
- 誰も着ないようなデザイン、絶対かぶらないオリジナルアクセサリー、同じ人気スニーカーブランドでも型番やデザイン違い、コラボアイテムを探す。
購入の強いトリガーは「ショップスタッフ」「今・ここにしかない限定性」
- ショップスタッフとは積極的に親しくなる。店舗でのリアル接客や、インビをもらった展示会での経験が、購入の強い後押しになっている。
- 「今しか買えない」ポップアップイベントや限定商品は、最初から買う気で行く。
- 情報はSNSやインフルエンサーから得ても、買う決め手は「人」や「実店舗での体験」が大きく影響。
ファッション・カルチャーの原体験は「親、祖父母」
- ファッション好きの家族と服やアクセサリーをジェンダーレスで共有している。女子は父や兄のおさがり(セルフ古着)を普通に着る。
- 親のブランド・カルチャー体験があるから、Y2K・レトロブームも自然に受け入れる。